TOP > 掲載企画インタビュー7月ライオン商事 榊原健郎社長

インタビュー

質的成長で生き残り図る。

ライオン商事 榊原健郎社長

 少子高齢化などを背景に、ペット関連市場の再活性化に各方面から期待が寄せられている。人間とペットの関係がより密接になり、その在り方も変化する中で、フードや用品などを展開する各企業もニーズへの対応、新たな提案に余念がない。そうした中で、今年からライオン商事の新社長に就任した榊原健郎氏に、今後の取り組みや考え方などについて聞いた。

 

 —ご自身の経歴についてお聞きします。

 「入社後6年間は家庭品の営業として、首都圏で大手量販店を担当した。その後、社内の国内留学制度を利用して慶應ビジネススクールに派遣させてもらい、大学時代から専攻していたマーケティングを中心に経営全般について学んだ」

 「派遣後は人事部に配属され、7年間在籍した。ここでは、採用、処遇などの人材開発に加え、職能型人事制度への改定などを手掛けた。更に1998年から経営企画部に10年間在籍した。ここでは、ライオングループ全体の中期戦略の立案、推進を主に担当し、生産拠点集約・不採算事業の整理・企業年金制度の改定といった事業構造改革に加え、成長基盤の強化として韓国の日用品事業などの買収も行った」

 

 —会社の中核に籍を置かれてきたわけですね。

 「08年からは、リビングケア事業部に転じ、入社以来の希望だったマーケティングの仕事に就いた。ここでは台所用洗剤やクッキングペーパーのリニューアルなどを行い、事業の成長力及び収益力強化に注力した。この後半の頃にコンセプトを仕込んだのが、いまヒット中の『ルックまめピカ』である。次に10年からヘルスケア事業本部を担当した」

 

 —これらの経験で印象に残っているのは。

 「いずれの部署でも得たものは数多くあったが、経営企画部時代の仕事を通じて体得した『ものの見方・考え方』が今の自分の財産になっている。上司、同僚にも恵まれて、経営全体を見渡すことができ、加えて大きな仕事をやり遂げることで、大変に勉強になった」

 —そして今年1月から現職に就かれたわけですが。

 「社長として当期純利益、更に利益処分まで責任を持たねばならないといった点で、これまでと違うと感じている。経営者である社外の友人たちと話していても、企業規模の大小に関わらず彼らは『独自の仕組みをいかに構築するか』、そのために『経営資源をどう配分するか』を常に意識している。その意味で、まず『面白い!よし、やってみよう』と思ったのは事実」

 —就任して最初に従業員の人たちに話したのは、どういうことでしたか。

 「全社的に今年から『Vision2020』が始まった。当社も全社戦略に即した中期事業構想を策定しているので、改めてその方向性などを確認した」

 「そして、『明るくやっていこう』ということを話している。従業員70人余りの会社でも、部署が違ったりすると情報の壁ができたりしがち。まず、それを無くしたいと考えた。言いたいことは言う、人の批判はしない、駄目なことは駄目と言うが『自分ならばどうするか』の代案を示す、というように建設的に物事を前に進めることを第一としている。加えて『ホウ・レン・ソウ』を大事に、意思疎通がしやすい会社にしたいと考えている」

 

 —ライオン商事自体は歴史のある企業です。

 「ライオン油脂の販売会社として創業し70年経つが、現在はペット事業を専業としている。新入社員からベテラン社員、様々なキャリアの人材がいる会社であり、私を含め全員の知恵が融合すれば非常に面白い会社になれると思う」

 

 —最近の業績はいかがでしょう。

 「11年は市場を上回る成長を確保し、利益も前年をクリアした。ペット市場はこれまで量的な拡大を果たしてきたが、市場が成熟化しつつある中で、しかも景気低迷でペット関連支出も伸びない中で、今後は質的な成長を目指していくことで生き残りを図っていくことが重要だと思う。社内でも『今が踊り場であって、ここを乗り切らないと危機的な状況になる』ということは常に話している」

 

 —質的な成長を目指すためにポイントとなるのは。

 「一つは新製品。今春に発売した『Quick&Richさっぱりバスエッセンス』のように、新たなカテゴリーを創造していくこと。そのためには、生活者のペット飼育行動をしっかり見極めていかねばならない」

 「もう一つは、室内飼育が中心になる中で、これまでの人とペットの生活空間を分けた発想ではなく、両者が一緒に生活する空間の演出をどう作り上げていくか。香りや衛生の世界、そこから来る快適さなどもあるだろう。そうした観点から商品を組み立てていきたい」

 

 —飼い主とペットの関係は一段と密接になっているようです。

 「状況をより細かく分析して、そこにどういう潜在的不満があり、どういう付加価値を提供していけるかが、大きな鍵になる」
 

 —また、流通に対する考え方は。

 「ペット市場の卸店は、商品調達などマーチャンダイジング力が強い専業卸、日用雑貨と一体になった売り場提案や物流機能に強みを持つ日雑卸、海外など幅広い調達力を持つ商社系卸と大きく分かれている。それぞれ上位集中化、グループ化が進んでいる。一方、小売業はチャネル別の販売構成比が日用雑貨とやや異なり、ホームセンターが5割近く、GMS・スーパーが15〜20%、ドラッグストアと専門店がそれぞれ10〜15%となっている。更に最近はネット通販チャネルが拡大している」

 「当社として、どういう小売企業との取り組みに注力するか、十分に考えていかねばならない。トータルな展開なら売り場の広いホームセンターで、日常の買い回りや棚効率ならGMS、ケア関連品中心ならドラッグストアと、お客様にとって、私どもの商品がお買い求めやすい『場』はどこか、情報をきちんと伝えられる『場』はどこかを視野に入れつつ、より適したチャネルでの取り組みを重視していく」
 

 —様々な取り組みが考えられますね。

 「質的成長を目指す上で、まずは安定した価格で販売し、価値をお客様に的確に伝えてもらえる機能を持つチャネルに魅力を感じている。単純な物販だけでは限界があり、仕組みと共に販売する、情報をセットにしていくといったことが今後は重要だろう」 
 

 —今後、どういう企業を目指していきたいと思いますか。

 「一番言われたいのは『ライオン商事は、やはり違う』ということ。他と違う視点での商品開発など、ユニークさをどう作り上げていくかが自分の仕事。規模は後からついてくるものと考えており、他社にはない独自性を研ぎ澄ますために、ライオングループが有する技術、知見、ノウハウなどをどう融合させ応用していくか考えていきたい」

 

 

(2012年7月16日号) 

 

 

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