TOP > 掲載企画インタビュー7月「指定ごみ袋を考える会」 武田一弘会長

インタビュー

健全な市場を取り戻すために

「指定ごみ袋を考える会」 武田一弘会長

 家庭用品や日用雑貨の業界で幅広く取り扱われているごみ袋。日常生活とは切っても切れないこのカテゴリーにおいて、市場健全化へ向けた取り組みを推進している団体がある。1995年に設立された「指定ごみ袋を考える会」は、その名の通り、行政によって各地に広がった指定ごみ袋制度に疑問を呈し、問題解決により業界の活性化を目指そうと活動している。この会の設立当初から会長として精力的に動いている武田一弘氏(ケミカルジャパン社長)に話を聞いた。

  

 —そもそも、会を設立することになった背景は。

 「90年頃からごみの分別、リサイクルが叫ばれるようになり、中身が確認できる袋が導入されてきた。それまでの主流で、リサイクルという観点でも優等生的存在だった黒い袋は消えていき、透明または半透明の袋に変わった。92年当たりからは自治体の名前を印刷したものが増えていき、その間にも指定ごみ袋はどんどん広がっていった。結果、やたらに種類が増え非効率的になり、しかもエコロジーでも何でもない状態になっていくことに危機感を覚えた8社が集まったのが始まり」

  

 —何を問題として立ち上がったのでしょうか。

 「東京都でも指定ごみ袋導入の話が出るようになり、①(ごみ袋への)印刷は不要②炭酸カルシウム入りの袋は不要③有料化はごみ袋ではなくシール方式で④行政の進める1社独占の入札方式は不適切—の4つを基本的な大原則とした」

  

 —現状で効率が悪い点とは何でしょう。

 「ごみ袋自体のアイテム数が多過ぎることがある。認定されたごみ袋は大きく可燃ごみ用、不燃ごみ用、資源ごみ用の3種類だが、自治体によってはペットボトル用、紙製品用、ボランティア用など、いくつも存在する。基本の3種類だけだとしても、サイズ別に大、中、小などが必要で、更に指定ゴミ袋制度を持つ自治体の数だけ作らなければならない。例えば、名古屋市だけでも20種類は作っている」

 「種類が多い上に売れるアイテムと売れないアイテムが混在しているため、倉庫は指定ごみ袋の在庫の山となり、もともと利益が薄いこともあって経営が成り立たなくなる。全アイテムを作らないと指定業者として認定しない自治体もあり、我々メーカーは売れないのを承知で作るしかない。小売業もまた、地域の消費者のために品ぞろえが必要なので、作ることを求める。しわ寄せは我々にきて、売れない在庫を1年、2年と抱えることになる。人口30万人以下の自治体のごみ袋は作らないというメーカーもあるが、それは一部の大手に限られる」
 

 —最終的には消費者の不利益にもなりうると思われますが。

 「会を設立した頃に東京23区で『炭酸カルシウム入り半透明推奨袋制』が始まった。これがターニングポイントだったと思う。炭カル入りにすれば、燃焼カロリーが低い焼却炉を傷めないということだったが、後に間違いだったことが検証された。その後にはダイオキシンを抑制するというごみ袋、ごみを収集する人が怪我をしないための安全グリップ付き、リサイクルできるという古紙混入型、脱臭剤入り、良く燃えるようにした助燃剤入り、カラスにいたずらされないよう黄色くした袋など、いろいろ出てきた」

 「しかし、これらのごみ袋の効果が低いことが分かっている。他の町と違ったことをしたいと考える自治体が採用するわけが、ひどいところになると、それぞれ1社しか作っていないような物を平気で入札条件にしたりする」
  

 —公正な競争が阻害されているということでしょうか。

 「入札に関しては、最近東京・多摩地区などで増えている丸投げコンペ方式というものがある。通常はごみ袋の入札と配送などは別々なのだが、これを一括して企画、入札させ、1社に丸投げするもの。しかし、選に漏れた企業の何が悪かったのか、駄目だったのかは一切非公開で説明もない。ずっと随意契約で、メーカーは変わらない。そんな方式がまかり通っている」

 「その他にも、商工会に参加して会費を払わないと店が販売できないとか、無理な条件を出して落札し経営が行き詰まるメーカーがあるなど、各地で多くの問題が存在する」
 

 —行政への働き掛けは行っているのですか。

 「不満を言っているだけでは仕方ないので、(有料の)シール制、あるいは申告制度を提案している。また、こうした制度を導入していない自治体に訪問し、趣旨を説明して導入しないよう働き掛けるなどしている」

 「今の状況が本当に消費者のためになっているのか、自治体には考えてみてほしいと思う。東南アジアの工場では、日本の自治体向けに、市町村の名前が入った様々な種類のごみ袋を生産している。地元の業者に『なぜ日本ではこんなに多くのアイテムが必要なのか』と問われても、返事に窮している。このままでは市場が、業界が弱体化してしまう。そんな危機感を持って、1人でも多くの人に問題点を理解してもらい、改善に向けた取り組みを進めていきたい」
  
 

(2012年7月2日号)

 

 

 

・・・ごみ袋市場の現状・・・

 ポリエチレン製のごみ袋を作るメーカー、供給業者は200社余りあり、日用品や荒物雑貨の卸店を通じて小売店に出荷されている。生産量は業務用、家庭用合わせて15〜20万tほど、市場規模は600〜800億円と言われている。分別化でサイズが小さくなり、枚数は少しずつ増えている。市場に出回る商品の9割以上が海外生産のため、最近は円高で値下げを強いられるケースが目立つ。国内では約8割の市町村が指定ゴミ袋制度を導入しており、有料化も進んでいる。

 

 
 
     
 
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