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コラム

「映画的生活用品」──フランキーの膳捌き──「幕末太陽傳

2012年12月3日

 

  例えば「幕末太陽傳」(57。川島雄三)という映画がある。

  時は文久二(一八六二)年、あと五年で明治となる幕末の動乱の世。所は、東海道五十三次最初の宿場、品川の遊廓・相模屋。落語の世界から抜け出して来た居残り左平次(フランキー堺)と、高杉晋作(石原裕次郎)ら勤皇の志士とを絡ませた諷刺絵巻だ。

 この左平次、遊廓でただで遊んでは居残ることを常習としているようで、今回も遊び仲間(西村晃ら)を引き連れて繰り出し、遊女を侍らせての豪遊。膳や徳利、鉢など小道具が大活躍する。

 翌朝「この俺が一文も懐に持ってないてえんだから面白いじゃねえか」と左平次は宿への居残りを決め込む。

 フランキー堺の立板に水の話振りと、縦横無尽の動きにあれよあれよと見惚れてしまう。羽織を空中に放って、さっと着る芸当や、重ねた大きな膳を危なげなく運ぶ手際の良さといったらない。実は左平次、労咳を患っている。薬を煎じたり、時折寂しそうな表情を見せる。多分に死の予感を感じさせる。

 映画は、「品川心中」をネタにした、女郎おそめ(左幸子)と貸本屋金造(小沢昭一)の爆笑の心中話や、勤皇グループによる異人館焼討ち事件などのエピソードを絡めて飽きさせない。

 ラスト、左平次は「地獄も極楽もあるもんか、おいらまだまだ生きるんでえ」と捨て台詞を残して去っていくが、川島監督は六年後、四十五歳で早逝した。     (活吉)

 
 
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