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コラム

「映画的生活用品」──遺品は黒檀の箸──「アントキノイノチ」

2012年6月4日

 例えば「アントキノイノチ」(11。瀬々敬久)という映画がある。

  「おくりびと」(08。滝田洋二郎)の主人公(本木雅弘)が納棺師という職業に就いたように、この映画の主人公(岡田将生)が就職した仕事は、遺族の代わりに故人の遺品の整理を行う遺品整理業。二人とも屈折した過去があることで共通している。

  岡田が就いた最初の現場は、76歳で孤独死した男性の団地の一室。先輩の原田泰造や榮倉奈々に教わりながら、燃えるゴミ、燃えないゴミと、遺品にならない物をゴミ袋に分別していく。

  そして遺品。まず箸。若狭の塗箸メーカー、兵佐衛門が小道具協力をしているので、同社の箸が大活躍。「これは黒檀」と職業柄詳しいらしく、榮倉は岡田に渡す。「先っぽの色が変わっているのにずっと使ってたんだね」。戸棚を開けると箸箱があり、夫婦箸のもう片方を出す。「きっと奥さんはずっと前に亡くなって、思い出のお箸として使い続けていたんだね」。夫婦茶碗も出てきた。箸と共に、丁寧に包んで袋に仕舞う。その時、榮倉の左手首にリストカットが。

 原田泰造は言う、「生きるって物凄く恥ずかしいことなんだ。綺麗に掃除し、いい物だけを残して亡くなった人の面子を残してあげる。それが俺たちの仕事だ」と。

 人は、人の死に直面し、遺された物に触れることで、生きる勇気を取り戻していく。(活吉)

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